2030【1】
2030年8月、僕は静岡に居た。
仕事は体験型アウトドア施設の運営。
俗に言うキャンプ場や管理釣り場、保養施設とその他アクティビティ施設を経営している。
ある日そんな僕のところへ、旧友の佐々木から電話があった。
佐々木「久しぶり、仕事の調子はどう?」
僕「久しぶり、先日またアウトドア系のインフルエンサーがInstagramで紹介してくれたからぼちぼち忙しいよ」
佐々木「そりゃ良かった、ところで最近面白いものを手に入れたから見せたいんだけど…」
佐々木は新しいもの好きで、ガジェット関連はもちろん、車やアートなど気になればすぐに手に入れるといった面があった。
僕「ほぉ…それって…」
佐々木「とにかく今から連れて行くから、居るだろ?その…キャンプ場?」
僕「体験型アウトドア施設ねwまあ居るけど…」
佐々木「オッケー!あと30分ほどで着くから楽しみに待ってて‼︎」
僕「分かった、え?連れて行く???」
佐々木「まあまあ焦んなってwんじゃあとで!」
そう言って佐々木は一方的に電話を切った。
佐々木との付き合いは18才の頃から。
よく遊びに行ってたクラブのDJをやっていた佐々木にかかっていた曲名を聞いたとこから始まった。
それからちょくちょく遊ぶようになり、佐々木の趣味であるサーフィンやキャンプ、釣りへとよく連れていってもらったりで親交を深めていった間柄だ。
そして間もなく佐々木が僕の居る施設の管理棟へ到着した。
佐々木「ういっす!さあ、見て見て‼︎」
佐々木は車の助手席からなにやら人型の人形のようなもの…いやどう見ても人間だがそれを抱きかかえて僕のところへ近づいてきた。
佐々木「いや〜、これ最近手に入れたんだけどとにかく凄いのよ‼︎」
僕「それって…」
佐々木「違う違う!ラブドールとかじゃ無い…っていうかそういう要素もあるけどw」
※ラブドール(ダッチワイフ)
佐々木は昔からモテるタイプだったし、今も独身を貫いているからそのような類に手を出すことが信じられなかった。
とはいえ佐々木が、電話口で興奮気味だったのとラブドールという訳では無いといった口調だったので、あらためて話を聞いてみることにした。
僕「で、なにが凄いの?」
佐々木「ラブドール専門の会社とam͜a͉zonが技術提携した製品なんだよ‼︎」
僕「え?💧」
佐々木「まあ見ててよ、アレクサ!」
佐々木はそう言いながらその人間らしきものの手を強く握った。
そして次の瞬間、それが二本足で自立した。
僕「ええ⁈」
佐々木「ふふふ…凄くない?」
僕「これどーなってんの?」
佐々木「こればかりじゃないんだな〜…アレクサ!ボイパやって」
アレクサ「🎶🎶🎶🎶🎶」
そのラブドール、いやアレクサはかなり上手なボイスパーカッションを披露してくれた。
佐々木「今は購入したばかりだからアレクサだけど、後から名前も設定で変えれるんだよね」
僕「こ…これって…💦」
佐々木「ラブドール要素も装備したヒューマノイドってことwww」
僕「ヒューマノイド?」
佐々木「まあ実際試すのが1番分かるかもしんないね!欲しくなった?w」
僕「きょ…興味が無いと言えば嘘になる…💧しかしこんな凄いのが話題になってないのが不思議すぎて…」
佐々木「ああ、これプロトタイプだから」
僕「どゆこと?」
佐々木「まだ公式に発表はされてないってこと、昨日まではね」
僕「え?」
佐々木「今日正式に発表されるからニュースをチェックしてみて」
僕「わ…分かった…」
佐々木「それで決心がついたら連絡ちょうだい!プロトタイプの入手権利、まだひと枠あるから」
僕「う、うん…」
佐々木「じゃそーゆーことで!」
そう言って佐々木はまたヒューマノイドを車の助手席に座らせ去っていった。
そしてその日の夕方、ネットニュースを見たら、そのヒューマノイドの正式な発表がされた。
その直後SNSや他のニュースでも物凄い反響があり、世界中がそのヒューマノイドの話題で持ちきりとなった。
つづく
アレクサ!2階の部屋温度を24度にして‼︎ - ポジティブおっさんはてなブログドットコム