AIヒューマノイド テレサ第三話
【第二話】
AIヒューマノイド テレサ第二話 - ポジティブおっさんはてなブログドットコム
ヒューマノイドの最終的な仕上げは一時間もしない間に終わった。
玉木「よろしければ細部までご確認ください」
私「はい」
最終工程はすべてロボットアームで行われ、細部まで確認したが我々はその完璧な仕上がりに圧巻した。
私「まったく問題ありません」
松本「どこに切れ込みがあったのか全然分からないな…」
玉木「良かったです」
私「玉木さん、このベータ型を起動したいのですが、宜しければ弓月さんもご一緒にいかがでしょうか?」
玉木「はい、先ほどこちらのファクトリーへ向かうという連絡がありましたので、じきに到着するかと思います」
私「それでは待つとしましょう」
我々はユアーズ社の取締役、弓月さんの到着を待った。
玉木「あのタクシーです」
程なくして弓月さんが到着した。
弓月「すみません、お待たせしました」
松本「いえいえ、今さっき完成した所です」
弓月「ここのファクトリーにシュミレーションルームがありますので、よろしければそちらをお使いください」
私「ありがとうございます」
弓月さん、玉木さんと共にベータ型の初起動をする為、案内された部屋へ。
松本「ほう…リビングと寝室が設けられいるんですね」
玉木「弊社の製品を様々なシチュエーションで違和感無く使用していただけるよう、椅子に座らせたりベッドに寝かしたり…でシュミレーションできるよう、このようなセットを用意しています」
私「なるほど……」
松本「あまりお待たせしてもなんだぞ?」
私「ああ…では弊社と御社との提携により、今ヒューマノイド、ベータ型を起動します」
私はヒューマノイドをリモコンキーで起動した。
弓月「おお!」
ヒューマノイドはゆっくり目を開け周りを見渡すような仕草をした。
私と松本はお互い顔を見合わせて頷いた。
ヒューマノイド「初期設定をはじめますか?」
私「はい」
初期設定はマイナンバーを読み込ませる事で完結できるようになっていた。
ヒューマノイド「最後に私の呼び名をお決めください」
松本「どうするんだ?」
私「とりあえずベータでいいのでは?」
ヒューマノイドの呼び名は後からいくらでも変える事が可能。
松本「そうだな」
私「はい、この度は誠にありがとうございました」
松本「ユアーズ社の技術が無かったら、このクオリティには辿り着けませんでした…」
玉木「このような素晴らしい瞬間に立ち会えた事、とても嬉しいです」
私「とりあえず来週弊社で行われるコンペで結果が出たら、他の二体も使わせていただきます」
弓月「ぜひよろしくお願いします」
そして翌週、社内コンペが開催された。
他チームもなかなかのクオリティを引き下げ挑んだが、やはり我々のベータ型ヒューマノイドまでは至らず、最終的に我々のチームに軍配が上がった。
松本「やったな」
私「ああ…さっそくクライアントへの納品準備を進めよう」
ヒューマノイドの増産の為、ユアーズ社と共同のファクトリーを建設する事となった。
ユアーズ社はラブドールの販売路線をヒューマノイド制作の事業へと徐々にシフトしていくとの事だ。
そして一ヶ月後、ヒューマノイド生産専門のファクトリーが完成した。
松本「他チームのやっかみに会わなくてラッキーだったな」
私「もし私達が敗れたとしても、そんな気持ちにはならないだろ?」
松本「ははは…まあな、コンペ以降、他チームも技術的な面で協力してくれているしな」
私「今回は階段を一段登っただけ、まだまだ改善点は残されている」
松本「ああ…いずれ世界中にヒューマノイドが存在する事になる。更に忙しくなるな」
私「ああ……、松本」
松本「なんだ?」
私「これからもよろしく」
松本「こちらこそだ」
つづく