俺とテレサとポジティブじいさん1
2051/1/20
5:21
俺「おはようテレサ」
テレサ「おはようございます、コーヒーはできています」
俺「ありがとう」
テレサ「どういたしまして」
俺「今朝までのトピックスなどを教えて」
テレサ「はい、昨夜21:00時から今朝5:21時までのトピックスをお知らせします。
深夜3:00時に1LCコイン$63,734.701まで上昇、現時点でのSB平均株価は¥528,523.26、1エチオピア・ブルは¥231です。」
俺「他になにかある?」
テレサ「はい、昨夜21:00から今朝5:00まで水位が270mm下がっています、あと昨夜注文した名称不明の商品が3つすでに届いていますがひとつスキャン中にエラーが発生しています」
俺はAIに趣向を悟られるのが嫌だったので、注文する商品の名称を読み取らないようセッティングしていた。
俺「エラーの商品はまだボックスにある?」
テレサ「はい、それ以外はデスクの上に置いておきました」
俺「分かった、ありがとう」
テレサ「どういたしまして」
俺「さて…」
俺はエラーが発生した商品を確認するためボックスを開けた。
中には注文したものとは明らかに違う形状とサイズのものが入っていた。
俺「ん?これは注文したものとは違うな…テレサ、次はディテイルスキャンしてくれないかな?」
テレサ「分かりました」
※ディテイルスキャン=さらに詳細にスキャンすること
テレサ「ディテイルスキャンの結果、これは注文されたものとは違うようです」
俺「そか、どうしてこれが届いたの?」
テレサ「誤配送ではないとウーバーポストの担当は申してます、宅配ドローンにも確認しましたが、やはり間違いはないと…」
俺「所有権は?」
テレサ「はい、あなたに有ります」
俺「開けてみるよ」
テレサ「はい、危険物では無いので問題ありません」
それは握りこぶしほどの大きさ、表面はでこぼこだが円形で半透明の深緑色、かなり乱雑なラッピングが施されていた。
俺「ん?これは…なんだ?」
テレサ「似たような形状から検索しましたがヒットはしませんでした、素材はモルダバイトです」
俺「モルダバイト?」
テレサ「はい、20年前まで存在した国、チェコ原産の天然ガラスです」
俺「なんでそんなもんが届いたんだ…?」
テレサ「今ウーバーポストに問い合わせたところ、送り主の所在地は東京だそうです」
俺「東京?」
テレサ「はい」
俺「東京って25年前に水没した場所だよね?」
テレサ「そうです」
俺「そんなところからウーバーポストで届くもん?」
テレサ「配達希望日時を設定していたとの事で、長野県にあるウェアハウスで保管されていたそうです」
俺「エラーの原因は?」
テレサ「おそらく宛名が不明なのと、コードタグの経年劣化だと思われます」
※コードタグ=住所や宛名などが記憶されている電子タグ
俺「確かにコードは読み取れないくらい損傷してるよね…」
テレサ「はい、このコードタグでは私でも読み取りが不可能です」
俺「そか…まあ誤配送じゃないのなら、デスクの上にでも飾っておくか…」
テレサ「………」
俺「じゃあ仕事をはじめるからサポートよろしくテレサ」
テレサ「はい、よろしくお願いします」
こうして25年前に水没した東京から天然ガラスが届いた以外、俺はふだんと変わらない日を過ごした。
しかし2日後、俺はこの天然ガラス、モルダバイトにとある異常を発見するのだった。
つづく